やっと読了しました…正確には2月20日…正月から概ね2ヶ月この小説にかかりきりだったことになります。面白かったけど、長かったなあ。
結末が描かれる“下”巻では、“中”巻では殆ど描かれなかった物井清三はじめとするレディ・ジョーカーの視点が描かれていきます。「ことを成した」ことをどのように受け入れるのか戸惑う彼等…。章題にある“崩壊”が示唆されます。一方で、日之出ビールの人物たちも徐々に“崩壊”していく様が描かれていきます。
視点は合田、半田の両刑事の対決へと移行し…“崩壊”が顕在化していきます。
物語としては「現実感」を維持しつつ、このような終わり方になるんだろうなあ…と思わざるを得ません。しかしながら、どこか消化不良も残りつつ…終わってしまった、というような後味です。敢えて詳説されなかったエピソードも多いので「あの人その後どうなったんだろう」「あの事件の真相は」などなど思い起こされ、その辺りが消化不良という後味になるんでしょうか。とはいえ、この物語は、見事に完結していると思いました。
この物語でも活躍した合田刑事は他の作品にも登場するようです…また、読みたい本が増えました!
とはいえ、長編で疲れましたので次は少し軽いのを読みたいと思いなあ‼️
- 作者:高村 薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: 文庫