本と落語と旨いもの‥まあさんの東京街歩き日記

本と落語と旨いもの‥日々趣味にまつわることを書きたいと思います。ブログの素人もいいところ、暖かく見守っていただければありがたいです。趣味が共通の方との情報交換もできればなあと思っています。

照柿 髙村薫

レディ・ジョーカーを読んだのが3年前…。グリコ社長誘拐事件を彷彿とさせる設定のもと犯人グループとこれを追う刑事 合田雄一郎の物語が重厚で非常に読み応えがあった記憶があります。
gomahsango.hatenablog.com

合田雄一郎が登場する作品では、作中の時間軸(発表順も同じく)に沿うとマークスの山」→「照柿」→「レディ・ジョーカーとなるんですね…つまり時間を遡るように読むことになり…逆の方が良かったかなあ。

本作は、主人公 合田雄一郎とその幼馴染み野田、野田の愛人である美保子の内面をミステリ要素を盛り込みながら描いた長編で「レディ・ジョーカー」がそうであったように、物語の描かれ方や展開は“重厚”です。前半が自分には長すぎたかなあ…ただし後半は展開が加速して、予想もつかない結末を迎えることになります。終章は合田の手紙文で締められるのですが、物語の結末として素晴らしく独特の読後感を与えてくれます。

ところで、本作の設定は携帯電話が普及する前なので、“緊急の連絡のため公衆電話に走る”シーンが度々描かれます。あと“電報を打つ”シーンなんてのも…。個人的には、ちょっと懐かしいような感慨に浸りました。
さて、次はマークスの山へ。いつ頃読もうかな…。