才気にあふれ孤児院の運営に奔走する妻 亮子(ただしあくせくと奔走する真の目的は別にあり)と敗戦により虚脱症になってしまった夫 四方吉(ただし謎の行動あり)を、一癖も二癖もある登場人物が取り囲みドタバタ劇が繰り広げられます。
獅子文六氏の描く若き女性は自立心が強くて逞しく、歳を召した女性もまた若々しい。片や男性はどこか頼りなく…でも最後には奮起するのです。本作の最後は、とても爽やかに締めくくられます。
読んでいて愉しく心地良くあり、時々作者の叱咤も含まれるような獅子文六の作品は、また読みたいと思わせてれます。