直木賞受賞作の“錯乱”を含む五編が収められた短編集です。
“錯乱”は後に“獅子”として長編化され真田信之を描いたもの。
“刺客”も同じく真田家の騒動を描いて魅力的でした。
池波正太郎氏の描く真田信之は、後の“真田太平記“においても同様ですが、魅力あふれる人物この上なしです。実際にもそうだったのでしょうが、氏の小説に魅かれて、上田や松代、沼田を訪れる人は多いのではないでしょうか(私もぜひ訪れてみたい…)。
時代背景は幕末になりますが、中村半次郎を描く“賊将”も面白かった…池波氏の人物造形の巧みさに唸らされます。
剣客商売 十 春の嵐 池波正太郎
むかしの味 池波正太郎
私が改めて言うまでもなく池波正太郎氏の“食“に纏わるエッセイは本当に素晴らしい…。
著作中でご本人も書いていますが、“食べ歩き”やお店の紹介本ではなく、氏の生活と思い出に確りと繋がったお店の話や料理の話が綴られています。
だからこそ、でしょうが、“たいめいけん““煉瓦亭”“まつや”などなど、「あぁ、いきたい!」と思わずにはいられないのです。
あと、なんとも美味しそうなのが“どんどん焼き”。氏が少年の頃、食した屋台は今となっては街に見ることはできないのでは、と思いますが、浅草の“染太郎”に面影を感じます。こちらも「あぁ、いきたい!」となります。
- 作者:正太郎, 池波
- 発売日: 1988/11/30
- メディア: 文庫
間抜けの構造 ビートたけし
前回の更新から、仕事が忙しくなったり、身内の不幸があったり、目が回るような日々を過ごしておりましたら、2ヶ月も経ってしまいました。
その間、合間々々の読書がリラックス法といいましょうか、コツコツとは読んでおりましたので、読後の感想を書いて参ります。
世間では、緊急事態宣言が発出され…遠出や外出しての夕食を愉しむGWは望めなくなってしまいました…散歩と読書で健康維持、これも悪くないかもしれませんね。
読後の感想第一弾は、“バカ論”と同時購入した、ビートたけしの“間抜けの構造”。
先に読んだ“バカ論“が2017年の初版とあり、こちらは2012年が初版と5年くらい離れています…ですが、たけしは言っていることにブレなしで、自分のことばっかり考えて周りに目がいかない、“間抜け”な行動をする輩をずばりと指摘していきます。
痛快な語り口に笑いつつも、自分の胸に手を当て我が身に置き換えハッとさせられもします。
- 作者:ビートたけし
- 発売日: 2012/10/17
- メディア: 単行本