本と落語と旨いもの‥まあさんの東京街歩き日記

本と落語と旨いもの‥日々趣味にまつわることを書きたいと思います。ブログの素人もいいところ、暖かく見守っていただければありがたいです。趣味が共通の方との情報交換もできればなあと思っています。

錯乱 池波正太郎

直木賞受賞作の“錯乱”を含む五編が収められた短編集です。
“錯乱”は後に“獅子”として長編化され真田信之を描いたもの。
“刺客”も同じく真田家の騒動を描いて魅力的でした。
池波正太郎氏の描く真田信之は、後の“真田太平記“においても同様ですが、魅力あふれる人物この上なしです。実際にもそうだったのでしょうが、氏の小説に魅かれて、上田や松代、沼田を訪れる人は多いのではないでしょうか(私もぜひ訪れてみたい…)。
時代背景は幕末になりますが、中村半次郎を描く“賊将”も面白かった…池波氏の人物造形の巧みさに唸らされます。

錯乱 (春陽文庫)

錯乱 (春陽文庫)

青春怪談 獅子文六

何度も触れておりますので、今更ではありますが、獅子文六氏の小説は読むたびに着想の柔軟さに驚かされます。
本作も一風変わった登場人物たちがドタバタ喜劇を演じてくれる愉しい小説ですが…。
若いカップルの恋愛話が描かれると思いきや、実は、伴侶に先立たれた五十歳前後のカップルの純愛話であったり…しかも「この時代に」と思わざるを得ない、ジェンダー論に触れた展開もあり…。笑い、驚き、そのエンタテインメント性に感激しきりです。また次作を読まねば!!

青春怪談 (ちくま文庫)

青春怪談 (ちくま文庫)

剣客商売 十 春の嵐 池波正太郎

剣客商売“としては初の長編となる本作…。
秋山大治郎の偽物が現れ、辻斬りを繰り返すことから、やがて本人に嫌疑の目が向けられ窮地に立たされていく…。息子の嫌疑を晴らすため、あるいは恩人に報いるため、小兵衛、弥吉、傘徳の奮闘が描かれます。
やっぱり面白い!!

剣客商売 十 春の嵐 (新潮文庫)

剣客商売 十 春の嵐 (新潮文庫)

むかしの味 池波正太郎

私が改めて言うまでもなく池波正太郎氏の“食“に纏わるエッセイは本当に素晴らしい…。
著作中でご本人も書いていますが、“食べ歩き”やお店の紹介本ではなく、氏の生活と思い出に確りと繋がったお店の話や料理の話が綴られています。
だからこそ、でしょうが、“たいめいけん““煉瓦亭”“まつや”などなど、「あぁ、いきたい!」と思わずにはいられないのです。
あと、なんとも美味しそうなのが“どんどん焼き”。氏が少年の頃、食した屋台は今となっては街に見ることはできないのでは、と思いますが、浅草の“染太郎”に面影を感じます。こちらも「あぁ、いきたい!」となります。

むかしの味 (新潮文庫)

むかしの味 (新潮文庫)

間抜けの構造 ビートたけし

前回の更新から、仕事が忙しくなったり、身内の不幸があったり、目が回るような日々を過ごしておりましたら、2ヶ月も経ってしまいました。

その間、合間々々の読書がリラックス法といいましょうか、コツコツとは読んでおりましたので、読後の感想を書いて参ります。

世間では、緊急事態宣言が発出され…遠出や外出しての夕食を愉しむGWは望めなくなってしまいました…散歩と読書で健康維持、これも悪くないかもしれませんね。

読後の感想第一弾は、“バカ論”と同時購入した、ビートたけしの“間抜けの構造”。
先に読んだ“バカ論“が2017年の初版とあり、こちらは2012年が初版と5年くらい離れています…ですが、たけしは言っていることにブレなしで、自分のことばっかり考えて周りに目がいかない、“間抜け”な行動をする輩をずばりと指摘していきます。
痛快な語り口に笑いつつも、自分の胸に手を当て我が身に置き換えハッとさせられもします。

間抜けの構造 (新潮新書)

間抜けの構造 (新潮新書)

カラフル 森絵都

書店に行くと“不朽の名作”としてPOPが立っているのをよく見かけます。
少年少女に向けて描かれた小説のようですが、人生折り返したようなおじさんが読むとどうなるか…。少し不安な気持ちで手に取った一冊です。(でも読みたかった!)
読み終えて納得しました。自我が目覚め、人生を考え迷い始める世代の人たちに一つの答えを提示してくれています。
「自分が若い頃に読んでいたらどうかなあ」
内容が切実で終わりまで読めなかったかもしれません…。この今になって読んだ感想は、素晴らしいの一言、読後感がとても爽やかです。

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

  • 作者:森 絵都
  • 発売日: 2007/09/10
  • メディア: 文庫

太陽の塔 森見登美彦

大好きな作家さん、森見登美彦氏のデビュー作だそうです。
氏の小説は本当に面白い…作品のほとんどに登場する「どうしようもない」大学生の物語はここに始まったのか!感想をくだくだと書く必要なし…ただただ、愉しみたい!

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)