本と落語と旨いもの‥まあさんの東京街歩き日記

本と落語と旨いもの‥日々趣味にまつわることを書きたいと思います。ブログの素人もいいところ、暖かく見守っていただければありがたいです。趣味が共通の方との情報交換もできればなあと思っています。

ツリーハウス 角田光代

角田光代さんの作品は「八日目の蝉」以来…その作品を読んでから6年以上経過していますから、相当の時間が空いたことになります。
ふと手にした本作は、新宿の角筈といいますから現在の都庁からもう少し西寄りの場所に中華料理店「翡翠飯店」を営む一家三代の物語です。
戦前、戦中、戦後、高度成長期からバブル崩壊を経た平成までという非常に長い時間が物語の中で経過していきます。
その時間の中で、平凡な家族のある意味、波乱万丈の人生、意外な過去が丁寧に三世代に亘って描かれます。
登場する藤代家の人々はまさに時代時代を映し出すような人生を歩みますので、もしかするとこの一家は存在するのではないか、そんな現実感を読む者に与えます。
作者の角田光代さんは「八日目の蝉」では数奇な運命を辿る母娘を丁寧に描きましたが、本作はそれ以上の時間軸をもってどこかリアルな家族物語の三代記を見事に描ききっていました。
もう何作品か追いかけてみようかな、と思わずにはいられません。

ツリーハウス (文春文庫)

ツリーハウス (文春文庫)