“誰も予想できないラストシーン 文六作品の中でも衝撃の結末にあなたも驚く”
そんな、文庫本の帯にあるキャッチコピーに興味津々として本書を手に取りました!
獅子文六氏の小説には等身大にして個性的な人が多く登場します。
「どこかに居そうだけど、やっぱりいないだろう」そんな感じでしょうか。
全く売れない発明を生業とする父と、貧しい家計を支えながらも明るく暮らしている姉と弟…そこに父の再婚や娘の結婚話が同時に持ち上がり、さらには父の「大発明」も急展開…ドタバタ喜劇が始まり楽しませてくれます。この後どうなっていくのだろうと興味を引っ張り、その結末は…なるほど、これは予想できませんでした。
思うのは、獅子文六氏の他の作品の幾つかもそうなのですが、読者の期待するようなハッピーエンドはあまりない…どこか創りものとて世の中そんなに甘くないよ、そんな風に皮肉を込められてもいるようです。ただし、そこに辿り着くまでの物語は、存分に愉しませてくれる、とても魅力的な作家さんです。