本と落語と旨いもの‥まあさんの東京街歩き日記

本と落語と旨いもの‥日々趣味にまつわることを書きたいと思います。ブログの素人もいいところ、暖かく見守っていただければありがたいです。趣味が共通の方との情報交換もできればなあと思っています。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 辻村深月

つい最近、手にとった「朝が来る」の面白さに魅了され、早速、二冊目として本作を手にとりました。
gomahsango.hatenablog.com

私の読む本がミステリのジャンルから少し離れてしまっていたので、頭がミステリを求めていたのか(笑)…時間を惜しんでページをめくることになりました。もちろん、本作が素晴らしかったからに他ならないのですが…。

30代前半の主人公(女性)は、とある「事件」をきっかけに、学生時代や地元の友人との関係を掘り起こし、振り返っていくことになります。女性の内面や人間関係を作者は確りと描き、真に迫っているようです。私には縁遠い世界であり実感を持ってというわけにはいきませんでしたが、リアリティを感じずにはいられませんでした。「事件」は何故起きたのか、その背景を描く第一章、そして事件の当事者の内面と結末が、“ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。“の由来とともに描かれる第二章、物語の結末は少しだけの希望を含んで…どこか安心させてくれる読後感でした。
本作の登場人物で唯一、現実離れした雰囲気を纏った女子大学生”翠”(しかし自身は切実な孤独感に苛まれている)が、どこか”救い”の象徴にも思われ印象的でした。
さあ、次は何を読もうか、そう思います。