本
大藩取り潰しを目論む幕府と、その目論見に立ち向かう仙台藩の家老、原田甲斐の闘いを描いた大作です。 独自の解釈による”原田甲斐”像を造り上げ、1600ページを超える長編を長いと感じさせずに、最後まで読者を惹きつける物語の展開は見事の一言。 山本周五…
新選組の史跡巡りの”予習”として読んだ三部作(新選組始末記、新選組遺聞、新選組物語)は面白い本でした。 gomahsango.hatenablog.com ”予習”も済ませて…計画していた新選組縁の地の訪問です!新徳寺 新選組の前身である浪士組を率いた清川八郎が大演説をぶ…
とある事件が原因で、大学を休学してコンビニバイトをしながら一人暮らしを始めた若者が、徐々に成長していく物語…。 作者の佐藤多佳子さんは、こよなくラジオを愛する方のようで、ご自身も愛聴していた深夜番組を主人公、富山も聴いています。バイト、ラジ…
金持ちの台湾華僑の息子 龍馬が、車欲しさに叔父から譲ってもらったバナナの輸入権をもとに金儲けを目論む物語…取り巻く友人、ガールフレンド、つけ込む大人たちを巻き込んだ活躍が描かれます。 窮地に陥った龍馬を救ったのは…獅子文六氏の小説はエンタテイ…
「火の国の城」の重要な登場人物である“於蝶”の活躍を追いかけるように、本作を手に取りました。 「火の国の城」は江戸幕府成立直後の物語ですが…、 「蝶の戦記」は遡り、川中島から姉川の合戦に至る時代の上杉謙信と主人公、於蝶との関わりを中心に物語が描…
池波正太郎氏の忍者小説で、若干の設定の違いを含みつつも、登場人物が重なり描かれる一連の作品があります。「忍者丹波大介」(角川文庫)の解説に習い、物語中の時間の流れに沿って順番に並べると…凡そ、 夜の戦士→蝶の戦記→忍びの風→忍びの旗→忍者丹波大…
瀬尾まいこさんのデビュー作が本書に収められている「卵の緒」。 血の繋がりを超えた家族愛…というようなテーマは「そして、バトンは渡された」にも見られ、本書はその出発点なのかもしれません。 「そして、僕は何一つ繋がりのない妹、育子ととても仲が良い…
京都への旅行を計画し「ひとつ新選組の史跡巡りをやってみよう」ということになり…その“予習“とばかりに、新選組三部作(新選組始末記、新選組遺聞、新選組物語)を読んでみました。 池波正太郎氏の「幕末新選組」は読んだことがあります(池波氏が造形した…
ブログの更新が半年近くできていませんでした。 更新しなかった理由は、あるような無いような…習慣なんですかね。。 …年末に休みをいただきましたので、せっかく読んだ本を中心にキャッチアップしようと思います!こちらの一冊も読了したのは今年の前半なん…
池波正太郎氏の小説「忍びの女」は、主人公の女忍“小たま”と福島正則の交流を軸に、 関ヶ原開戦前から江戸幕府の成立、福島正則が信濃の高井郡で生涯を閉じるまでが描かれる忍者小説の快作です。新装版 忍びの女(上) (講談社文庫)作者:池波 正太郎講談社Amaz…
愛読する池波正太郎氏の“真田太平記”ゆかりの上田市へ念願叶って行って参りました。 訪れたのは5月14〜16日、二泊三日の旅です。 2019年10月に旅行を予定していたのですが直前の台風被害でキャンセルとなった経緯もあり“ついに、やっと…”というこ…
池波正太郎氏の作品はどれを読んでも面白いのですが、特に忍者ものは気に入って読んでいます。 本作は、主人公である甲賀の女忍び”小たま”の、福島正則との関わりを軸に、関ヶ原の戦い前から徳川幕府設立期、福島正則が亡くなるまでを描いた長編小説というこ…
北村薫氏の小説を久しぶりに手に取りました…なんと3年半ぶりのようです。 前回読んだのが「いとま申して」の第二編、好きな作家さんに挙げながらご無沙汰してスミマセン…。 こちらのブログでは、なんと初の感想ということになりました。北村薫さんの小説は…
人形浄瑠璃 文楽を愛してやまない三浦しをんさんは、小説「仏果を得ず」、エッセイ「あやつられ文楽鑑賞」を著しておられます。仏果を得ず (双葉文庫)作者:三浦 しをん双葉社Amazonあやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫)作者:三浦 しをん双葉社Amazon両作品を読み「…
恩田陸さんの小説「ユージニア」にも描かれる『成巽閣』へ、念願叶い訪問することができました。多くは語らず、写真を中心にご案内します。ご存じの方も多いかもしれませんが、小説「ユージニア」は、金沢を舞台とするミステリ。とある事件の謎解きの鍵とし…
年明け、すでに十日が過ぎたというところで、やっとの更新になりました。 年初は前年の読書まとめからスタートです。2021年は34冊…振り返ると2020年が36冊、2019年が41冊でした。 年初「今年こそは月4−5冊のペースで!」と目標を立てるのに全く逆の結果に…。…
綿矢りささんの作品を“今になってやっと”初読みです。芥川賞受賞作であり、ベストセラーであり、あまりにも有名な作品。 読んで納得…十代後半にしてこの表現、文章力はその才に感服しました。 最初の数行から(多くの方が称賛していますが)素晴らしく印象的…
「佐方貞人」シリーズ数作を読み、その読み応え、面白さに大満足…新たに本作を手に取りました。 読者感想にもありましたが“砂の器”を彷彿とさせる設定で、犯人探しではなく、事件に至る背景と動機の真相に迫る過程が読むものを惹きつけます。文庫上下二巻650…
桜木紫乃さんの作品を初読みです。 直木賞受賞作である本作は、北国のとあるラブホテルを舞台に、そこに関わるさまざまな登場人物の物語が綴られる連作短編集です。 描かれるのは、経済的な、あるいは両親の離婚再婚といった身辺の事情から、世間的な幸せと…
内容は全く異なる二作になりますが、続けて読みましたので、池波正太郎氏という括りで…。- 鬼平犯科帳(十二) 二十四巻まで続く「鬼平犯科帳」の折り返しです。 本巻では、“うさぎこと木村忠吾“はそこそこですが、代わって“おまさ“”五郎蔵”をはじめとする、…
東野圭吾さんの作品は、読みやすさすやどんでん返しの見事さも相まって、すっかりハマっていた時期がありました。 他の作家さんへ興味が移るに従ってあまり手にとらなくなっていたのですが…「ブックオフオンラインで送料無料にするため」というやや不純な動…
毎度のことなのですが、前回の更新からあっという間に2ヶ月半…。 最近、休日は努めてウォーキングに励む(年齢がら体重が気になるもので…)というような生活習慣に切り替えたところ、ブログ更新に充てる時間がなくなってしまいました。とはいえ、読書も旨い…
「その男」こと、杉虎之助の波乱に満ちた生涯を描いた大作…だと思います。 三巻からなるこの小説は、幕末から明治にかけての世の大変動を背景に、一人の少年が数奇な運命に導かれて、その激動に関わっていく様をその成長とともにたっぷりと描いてくれていま…
ここのところ小説ばかり読んでいましたので、たまには新書でもと思って手に取ったのがこちらの一冊です…手に取ったら文庫でした(笑)。「あの言葉は実は○○の造語だった!」的な内容を期待しつつ…だったのですが…。 実際の内容は、文豪の小説中の表現(主と…
伊坂幸太郎氏の作品を読むのは、本当に久しぶりです。 読書メーターの登録では2018年4月に“アイネクライネナハトムジーク“以来…。 氏の作品は、見事な伏線の回収、爽快な読後感が醍醐味と思います。 あの読後感を味わいたくて「また読みたい」となるのです…
前回の更新から、気が付けば一月半も経過…。 今年は土日に用事が多くなった(くじに外れてというか当たってというかマンションの理事長をやることになりこれが忙しい)ことも影響があるのか、なかなか時間を割けませんでした。さて、5月、6月、7月の読書…
小川洋子氏の文体は、どこか冷たさというか、近づき難い印象を感じていました。 そんな印象は、文庫の巻末に掲載のインタビューの中で、インタビュアーの北村浩子氏が「どこか他の世界で書かれたものの翻訳を読んでいるのではないか、という錯覚を感じる…」…
池波正太郎氏の作品の読後感想に「人物造形が素晴らしい」と何度書いたことでしょうか。 本作も大盗賊“雲霧仁左衛門”の世界にすっかりと引き込まれていきます。 雲霧仁左衛門は限られた部下にしか素顔を明かさぬ謎に包まれた人物…これに立ち向かうのが、安倍…
前回、更新してからあっという間にひと月半経過…。 在宅勤務の比率が上がって読書時間が激減しました…どうやら自分は電車の中でしか読書の意欲が湧かないようです(トホホ)。さて、そんな中でも読んだのがこちら…三遊亭白鳥師匠の長編小説です! 2011年の初…
本を好んで読むようになったのがここ10年くらいでして、、 それまでは、というと恥ずかしいくらい読書とは縁遠かったものですから、 学生時代にきっと読んでいるだろう、というような本をほとんど読んでおりません。本書もそのような一冊で、人生折り返し…